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恋猫8

☆ほんのりBL☆



 ヒカリが呆然としている間も早田は指先を這わせ、シャツの裾を引っ張り出す。直に肌を撫でられ、ヒカリは漸くハッとする。
 「何してんだよ、」
 振りほどこうとして暴れるが、両手で押さえつけられビクとも出来ない。
 「お前、俺に告白する気もなかったんだろ!」
 形振り構っている場合ではなかった。ヒカリはシーツに爪を立て、何とかして早田の手から逃げ出そうとする。だが、早田の手は、ヒカリの肌の上を好き勝手に動き回る。
 「言うつもりはなかったけど言っちゃったし、どうせだから一回だけさせて?」
 何を、と訊ねるのは愚問だろう。
 熱い手のひらを肌に押し付けられているのだ。しかも早田は腰を密着させている。
 「そんな、ついでみたいな言い方するな!」
 「じゃ、どう言えばいい?」
 どう言われても「どうぞ」だなんて返せる状況ではない。そんな事を言えば、早田は嬉々として続けるだろう。しかしヒカリはどうしても「やめろ」と口に出来ない。
 「ん、」
 早田が鼻から抜けるような甘い声を漏らして、ヒカリの胸をまさぐる。指先で胸の突起を弄られ、ピクピクッとヒカリは痙攣してしまう。
 「感じてるんだ、尖ってるもん」
 嬉しそうに早田が囁きながら同じ行為を繰り返す。別に胸を触られたからではないのだが、声が漏れてしまいそうで何も言い返せない。
 恐らく早田は意識してやってるのではないのだろう。だが、その甘い声にヒカリは煽られてしまうのだ。昂ったものをどうにも出来ないもどかしさだけが募って行く。
 「須田くん、」
 蕩けそうに甘い声で呼ばれ、「あぁッ」と声を上げてしまう。身体に溜まった熱をどうにかしたくて限界だった。
 握っていたシーツに顔を擦り付けイヤイヤをすると、その首筋に早田が唇を押付け、音を立てて吸い上げる。そしてゆっくりと慣れた手付きでヒカリのベルトを外してしまう。
 「ごめんね、須田くん」
 ヒカリの耳元でそう言うとスルッと下着の中に手を忍ばせる。指を絡めて強弱をつけて扱かれ、厭でもそれが変化しているのをヒカリは思い知らされる。
 「いや、だ……早田」
 シーツから顔を上げられないまま震えた声で訴える。それに早田が手を止め、また「ごめん」と謝る。
 「そうじゃなくて、『ごめん』とかって言うな」
 「え?」
 ヒカリの言葉に早田が怪訝そうな声を上げる。早田にとってその言葉は口癖のようなものなのかも知れないが、ヒカリにはそれが何だか面白くない。まるで自分に対する好意ごと謝られ否定されてるような気がするのだった。
 「だって、お前……五年間もその、俺の事が好きだったんだろ」
 言いながら恥ずかしくなってしまう。ヒカリだってこれまで何度か女子に告白された事ぐらいあった。だが、彼女たちはヒカリの外見なり家柄なりを気に入って言葉ばかりの好意を告白して来ただけだ。だからヒカリは、早田のように思い続けてくれるような相手とは出会った事がなかった。
 くぐもった声でそう告げるヒカリを照れてるとでも思ったのだろう。早田が「可愛い」と呟く。
 「そんな事言ったら僕が誤解しちゃうかも知れないよ?」
 クスクスと笑いを滲ませるのはまだ余裕があるからなのか。そんな事を思ってヒカリは余裕のない自分に気が付く。
 「煩せ、好きにしていいからもう謝るな」
 「……いいの?」
 戸惑ったように早田が問い返して来る。それに対して、矢張り顔を上げられないままヒカリは頷く。その途端、肩と腰を掴まれ強引に仰向けにさせられる。
 「な、」
 驚いて目を丸くするが、息が掛かりそうなほど近くに早田の顔があるので思わず目蓋をギュッと閉じる。
 「須田くん、本当にいいの?」
 シャツは捲れているしズボンだって半分脱げ掛かっている。ここまでやって置いて何を今更。そう思いながらヒカリは眉を顰めてコクンと頷く。
 すると、背中に手を回され身体を持ち上げられる。そのままキツく抱きしめられ、ヒカリはおそるおそる目を開ける。
 「な、トキってどう書くんんだ?」
 音で覚えただけなので、どう書くのかまでは知らなかった。もしかしたら成績表を見た時、目にしたかも知れないが、いらぬ情報は切り捨ててしまう癖がヒカリにはある。
 「天然記念物と同じ……『朱鷺』だよ」
 ヒカリの肩に顔を埋めたまま早田が答える。そうすると、言葉と一緒に早田の胸が震えるのが伝わり、もっと聞きたいと思ってしまう。
 「それにしても随分変わったな、お前」
 「そりゃ、須田くんに近づきたい一心だったからね」
 小さく笑いながら早田が言う。思った通り、胸の振動が一緒に伝わり、それにヒカリは満足する。だが、早田の言葉にふと疑問を覚える。
 「だからって何でそんなチャラいんだ?」
 「だって須田くん、生徒会長と仲いいでしょ」
 つまり、卯木をモデルにしたと言いたいらしい。
 卯木のチャラさは天性のものだ。今は佐伯だけに絞っているらしいが、ヒカリが知っているだけでもこれまでに関係した女は両手では足りない。もしかしたら佐伯の他にも男がいたかも知れない。それほどに卯木は男女を問わずモテるのだ。しかしカリスマ性だけでなく、こんな所にまで影響力があるなんて、困った男だ。
 ヒカリは幼馴染みに対して心の底から溜め息をこぼす。
 「どうしたの?」
 溜め息の振動が伝わったのか、早田が不思議そうに顔を覗き込んで来る。それを軽く睨みつけ、ヒカリは「卯木はただの幼馴染みだ」と告げる。
 「うん、知ってる。一年の佐伯と付合ってるんでしょ?」
 「どうして、それを」
 卯木も佐伯も、聞かれたら否定しないだろうが、自分から喋って回るような性格ではない。ヒカリだって二人が付合うキッカケを与えたのだから知っていただけで、そうでなかったら今も分からなかっただろう。
 「須田くんと仲いい人なんだもん、調べるに決まってるでしょ」
 この調子で行ったら早田はヒカリ自身が知らない事まで調べ上げているのかも知れない。それはそれで何だか落ち着かない気もするが、相手は五年間も片思いを続けていた奴なのだ。執念深いと思うのは今更だった。
 呆れて肩を竦めると、早田が急にグイッと腰を押し付けて来る。そのリアルな感触にビックリしてヒカリは息を飲む。
 「もう我慢出来ないんだけど、分かるよね?」
 グイグイと擦り付けられ、ヒカリは顔を仰け反らせる。早田はまだ服を着たままだが、ヒカリは殆ど脱げているのだ。衣類の摩擦が直に伝わり、敏感になってしまう。
 「ぁ……あッ」
 空気を求めて大きく喘ぐと、その隙を見逃さす早田が唇を乗せて来る。舌を絡めとられ、酸欠でも起こしたように頭がクラクラとする。
 「んぅ……、」
 濡れた音の合間に早田の声が漏れ聞こえる。それにまたもや煽られ、ヒカリは喉を鳴らしながらビクッと震える。
 「須田くん、イッたの?」
 早田の言葉にカッと顔が熱くなる。キスだけで達するなんて、今まではなかった。だが、否定してもそれが嘘だと言うのは一目瞭然なのだ。それに気持ち良かったのは事実なのだ。
 「何だよ、悪いか」
 「ううん、嬉しい」
 不貞腐れた顔をするヒカリに、早田がフワッと笑う。ヒカリは下がった目尻にある黒子を何となく見つめる。だが、余韻に浸る間もなくグイッと膝を開かれる。
 「でも須田くんだけってちょっとズルいよね?」
 ニコ、と笑う早田を信じられないものでも見るような思いで見つめる。
 コイツ……気が弱いなんて嘘じゃないか。メチャクチャ我が侭だ。考えてみれば、ここまで早田の希望通りに事が進んでいるじゃないか。喋り方と垂れ目に騙された。
 「もっと気持ちよくしてあげる。だからいいでしょ……?」
 早田が舌なめずりしそうな顔つきでそう囁く。
 ヒカリだって我が侭な方ではあるが、そのヒカリが早田の思惑に流されているのだ。我が侭のレベルで言ったら到底適うものではない。
 世の中には何をしても適わない相手というのがいるものだ。理不尽だとは思うが、どうしようもない。これまでヒカリは両親に対してそうだったし、卯木にもそれを感じた。そして新たに早田がそこに加わった。ただそれだけだ。それに理不尽なのもそう悪くないと思っていた。
 その間にも早田は同じ言葉を繰り返している。何度も囁きと共に懇願されて、ヒカリは根負けしたように頷き返す。
 「分かったよ、朱鷺」
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