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女王の赤い薔薇4

おやつを食べて解散と言われたので、素直に学校を後にした。
家までの道程をダラダラ歩きながら、予定外な事になってしまったと後悔する。
女子の多い部活に入ろうと思ったのは目的があったからなのだ。
その為に高校も選んだと言うのに思わぬ所で躓いてしまった。
母方のイトコである美波の事を知りたかった。
四つ年上の美波は、親戚と言うよりも姉のような存在だった。家が近かった事もあってよく遊んで貰った。
部屋で本を読んで貰ったり、トランプをしたり。天気のいい日は庭でかくれんぼをした記憶がある。だが二人きりのかくれんぼは淋しさを増し、このまま見つけて貰えなかったと想像して涙ぐんだ記憶がある。
それを知っていたのかどうか。
美波は学校の友達を呼ぶようになり、気が付いたら近所の子供たちの溜まり場となっていた。
そこで色んな子と出会った。全員が自分よりも年上だったのだろうが、一緒に遊ぶ分には関係ない。渾名で呼び合い駆けずり回った。
そうすると今度は帰るのが辛くなる。
帰りたくないと駄々を捏ねて泣出すと、美波は困ったように首を傾げて「みんなには内緒だよ」と言ってお菓子をくれた。
両親が引っ越しを決めた時も僕は泣いた。
新しく出来た友達と別れるのが辛くて、美波と会えないのが悲しくて。
すると、いつものように美波がお菓子をくれた。イチゴ味の飴だ。
口に入れるとすぐに溶けてしまうそれを舌で転がす僕を見て美波がニッコリと笑った。
「大丈夫だよ」
その言葉に何がと問い返したかったけど、何も言わなかった。
大丈夫、大丈夫。
その言葉と甘い味だけを記憶に留めようと必死だったのだ。
今となっては、遠い過去の思い出だ。
美波はもういないのだ。
一年前に死んでしまった。自殺だったのだと言う。
僕が葬式に出る事は許されず、墓の場所さえ教えて貰えない。美波の家族は引っ越してしまい、今は海外にいるらしい。
何があったのか分からない。
美波の家族と特別仲が悪かったと言う訳ではない。寧ろその反対だ。
それなのに美波に関する話題は僕の家ではタブーとなってしまった。
何を訊いても答えて貰えない。両親は困ったように眉を寄せて、わざとらしい口調で話を逸らしてしまうのだ。
だから、僕は自分で調べようと思った。
美波が通っていた学校に行けば、何か分かるかも知れない。何でもいい。
死にたいと思うような何かがあったのだ、美波に。
その理由を僕は知りたかった。


思いのほか、ミステリーツアーは好評なようだった。
チラホラと参加者が集まり、最終的には十人を越えた。
男子のみ募集としたにも関わらず、女子からも数名申込があった。更に言うならアベックの申込もあった。だが、春日さんがキッパリと断った。それらを入れたら三十人以上になっていたかも知れない。
アベックで参加したい人達の気持ちも分かる。
他にも参加者がいるとは言え、夜を一緒に過ごせるのだ。しかも学校公認の行事でだ。
しかし、春日さんには何か狙いがあるらしく、食い下がって来る希望者に対して取りつく島もなかった。
アベック禁止、女子のグループも同じく禁止。
どう考えても男子を集めたかったのだと言うのが見え見えだ。
しかも参加する一人一人に聞き込みをした。ユノさんは目立ち過ぎるって理由から殆ど僕一人で調べ上げたようなものだ。
春日さんから渡されたチェックシートには質問が箇条書きされている。
過去に幽霊を見た事があると吹聴したか否か、宇宙人の存在を信じているか、お化け屋敷が好きか。
これら全てにイエスと答えた人は不参加、全部ノーも駄目。
意味不明なこれら質問で何が分かると言うのだろう。
でも、一つだけ言える事は「過去に幽霊を見た事があると吹聴したか否か」。
この質問だけは他のものと意味合いが違う。心霊現象に遭遇した事よりも、それを誰かに言った事があるかどうか。もっと言うなら、心霊現象に遭った事が前提になっている。
この質問だけ何だか主旨がよく分からない。それは分かるが、それ以上は理解不能だ。
春日さんは何が知りたいんだろう。
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