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マッドハターでお茶会 5

どれがいいか悩んじゃうなぁ。
花柄のレトロなワンピースがいいかな、それともこっちのベルベット調のスカートがいいかな~。
ああ、楽しみ。
服のサイズが真澄ちゃんと同じで良かったなぁ。そのおかげでこうしてスタイリストなんて任されたんだから張り切っちゃうよ。
……って、一晩悩んだのに。
悲しい。
持って来れなかったから宅配便で送ったのに。
その所為でまた先生に怒られたのに。
真澄ちゃんはどれもこれも厭だ厭だばっかりで。その厭がりようが半端でなくって。
仕舞いには詩音まで真澄ちゃんの味方になっちゃうし。
何だったの。あの楽しいお悩みタイムは。
「あ、コレなら真澄ちゃんも余り抵抗ないんじゃない?」
詩音はそう言って取り上げたのは膝丈のハーフパンツ。
それでも真澄ちゃんは顔を顰めていたけど、他のを見て諦めたみたい。
「じゃあ!」
んもうっ!!って顔してたんだろうな。
真澄ちゃんが驚いたようにこっちを見る。
「あとは任せてよ。それ位いいでしょー!」
圧倒されたのか、詩音までこっち見て目を丸くする。
だって一晩、悩んだんだよ?
宅配便で学校まで送ったんだよ?
なのに何で一番、地味なの選ぶの!!
だったらコーディネート位させてよ!
って、言いたかったけど何だかう~う~唸ってしまった。
「うん、ユノの功績を認めようじゃないか。何を合わせたら可愛くなるかな」
詩音がこっちの機嫌を取るようにバツが悪そうに言う。
「コレとコレ」
瞬時にダンボールから取り出す。
クラシカルなデザインで襟元にリボンの付いたオーバーブラウスを見せてパンツと同じ素材の細身のジャケットを広げる。
「真澄ちゃん、着替えて」
「……ハイ」
素直に真澄ちゃんが服類を受け取り立ち上がる。それを見てたら妙に機嫌直っちゃったよ。
「エヘヘ、」
さっきキレ掛けたのが恥ずかしてちょっと笑ってみる。詩音が細くて白い指を伸ばして頭を撫でてくれる。
うふ~って満足していると真澄ちゃんが困ったように固まってる。
「どうしたの?」
「え……っと、何処で着替えれば」
「ココでいいんじゃない?ね、詩音?」
「ああ、問題ない。と、言うより外に出られた方が問題あるな」
んん、あ、成る程。
『アリス』になった真澄ちゃんを他の人に目撃されたら意味ないんだった。
「はぁ。でもココで着替えるのもちょっと問題が」
「何、」
「あの、お二人は女性ですよね?」
あら、照れてる。可愛いんだから。
照れるって言葉には縁のない詩音はあっさり頷く。
「生物学上、私は女に分類されるけどそれがどうした?」
「で、僕はこれでも一応、男なんですよ」
「『一応』と付ける辺り謙虚なんだな」
「少しは学習しましたから」
詩音に慣れたのか、真澄ちゃんが疲れたように言い返す。いい傾向だと思うよ、うん。
何か真澄ちゃんって弱々しいって言うか、頼りないって言うか……つまる所、誰かに守って貰わないと生きられないように見えるんだよね。だから、詩音に言い返せるほど鍛えられたと言う事は、それだけ強くなったって事で。この先、安泰だね!
言い返された詩音も真澄ちゃんの変化に気付いているんだと思う。口元をニヤニヤさせながら続きを促す。
「何が言いたい?」
「着替えてる間、外にいて下さい」
真澄ちゃんがそう言うと詩音がこっち見て片方だけ眉を上げて見せる。


何とか二人を追い出して着替えてみる。ここまで来たら逆らっても無駄だ。
パンツは何とか入ったが問題はブラウスだ。腰で絞られたデザインだし、ストレッチ素材ではないようなのでどう考えてもボタンが閉まらない。
だけど、羽織ってみたら見た目より少し余裕がある。
あれ?
ユノさんってもしかして着痩せするのかな?
あっさりとボタンも閉まり着替えは完了。
うん、スカートでない分、余り女装したって感じがしない。
「いいですよ」
廊下にそう声を掛けるとユノさんがまっ先に部室に入って来る。
普段からは想像できないテキパキとした動きで僕の襟元のリボンを結んでくれる。
大きめの鞄からソックスを出し僕に手渡す。そして今度はダンボールから紐で編む革靴を取り出す。
渡されたそれら小道具を全て身に付けるとユノさんが盛大な溜息をつく。
「う~ん、ちょぉっと男の子っぽい女の子って感じ?じゃなかったら少年を目指したコーディネイトの女の子?」
何だ。やっぱり女装してんのと変わらないのか。
「ジャケットは前しめないでね」
言われた通りにする。
「うん、可愛いんじゃない」
春日さんまでそんな事を言う。
貶されてる訳じゃないんだけど……複雑だ。
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