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マッドハターでお茶会 9終

「詩音は幽霊の正体も分かってんでしょ?」
「ああ、間違いないと思う。携帯電話だろ」
チェッ。
全部、お見通しってヤツか。
「予め佐波の携帯電話に留守電用のメッセージを吹き込んで置く。そして深夜、眠っていると思われる時間に電話を掛ける。部活で疲れている佐波は当然のように熟睡中で電話に出ない。留守電に切り替わり、メッセージ録音になる前に電話を切る。それをひたすら繰り返す。機種によるけど佐波の持っている携帯は同一の番号からの着信の場合、最後の一回しか記録が残らない。佐波は多分、携帯を枕元に置いていたんだろうな。だから再生された自分の携帯電話の留守電の音声を耳が拾ってしまった。普通、自分の携帯の留守電用のメッセージな んて聞いたりしないから心当たりなんかない。単純な佐波はそのまま心霊現象だと信じ込んでしまってウチに相談に来た。最初の計画は弱ってる佐波を見て笑ってやろう、それぐらいだったんだろうけど五十嵐が持って来た話でもっと直接的な嫌がらせを思いついた。それが真澄ちゃんの計画と重なってしまって私たちに露呈する結果となった。違う?」
ここまで来ると本当、脱帽。
お見事。
アナタには適いません。
「ま、明日にでも佐波には謝って置きなさい」
そう言って何事もなかったようにニッコリ笑う。
真澄ちゃんは詩音が自分の顔立ちに無頓着だと思っているようだけど、本当は分かっていて利用してるんだよって教えてあげたい。
ここぞと言う時に狙ったように綺麗な顔で笑うんだよなぁ。それだけで誰も何も言い返せない。
本当、美人って得だよ。

部室で試験勉強をしているとユノさんがやって来た。
ソファに寝転ぶようにして画集を眺めていた春日さんが顔を上げ「ユノ、お茶」と言い掛けて思いとどまる。
僕も異様な雰囲気に気付いて顔を上げるとユノさんが青ざめていた。
「どうした?」
「コ、コ……」
ユノさんがカクカクしながら何かを言おうとする。
春日さんが起き上がりユノさんの頭を撫でてあげる。
「落ち着いて。ホラ、深呼吸ー」
その言葉に従ってユノさんが深く息を吸って吐く。
「で、何があった?」
「コクられた!!」
「……」
二、三秒の間を置いて春日さんが吹き出す。
もう、大爆笑ってこういう事なんだなぁって納得しちゃうくらいの笑い方。
「誰にですか?」
ノートを閉じながら訊ねるとユノさんが僕を見る。
「あの体が大きいだけの小心者にぃ!!」
何故かユノさんは怒っているようだ。
「アハハ、最高ぉ!」
春日さんがソファを叩きながら笑い転げる。
「一度振られたのにまた告白したのかぁ、佐波は案外いい性格しているなぁ」
「詩音は知ってたんでしょう?」
「えぇ~、まっさかぁ。ま、ウチに相談するなんて、あわよくばユノに近づきたいって下心があるんじゃないかなぁって思ったけど」
何をかは知らないけど、春日さんはユノさんの言う通り『知って』いたんだろうな。
軽い口調になる時は大抵そうだから。
「もぉ、信じられないぃー!」
ユノさんはプンプン怒って春日さんを睨んでいる。そんな顔しても可愛いだけなのに。
でも、そうか。やっぱり佐波さんはユノさんの外見に関係なく好きなんだ。案外お似合いなんじゃないかな。
涙目で上目遣いに睨む美少女と、涙を堪えて爆笑する美人。その二人を眺めて溜め息をつく。
今日も相変わらず変人の集いだな、ミス研は。

<終>
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