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極上の趣味 3

首を捻って考えてみるが、答えは見当たらなかった。
仕方なく九年前のアルバムを手に取り、埃を払うが思っていたのと違うので気分が乗らない。予定通りに事が進まないと途端に面倒臭くなるのだ。
気のすすまないままページを捲り、破れや欠損がない事を確かめる。過去の卒業アルバム
を手に取る者がまずいないのだ。汚れようがない。
だが、八年前のアルバムは紛失している。どこかに紛れ込んだと言うのならそのうち出て来るだろうが、誰かに持ち去られたとしてら……面倒な事になりそうだった。
パタン、と。
アルバムを閉じて顔を上げると、松村と目が合う。何か用だろうか。
そう思って小さく首を傾げる。それに呼ばれたとでも思ったのか、松村が席を立って近づいて来る。
「ちょっといいかな?」
「はい」
断る理由もないので素直にコクンと頷く。
松村はそんな宮森にホッとした様子でポケットから一通の手紙を取り出す。
「これの差出人は君なのかと思って」
何となく受け取って中を見ると、「午後三時、図書室。A.S」とある。
同学年にすら友達がいないのに三年生を手紙で呼び出すようなだいそれた真似を宮森がする筈もない。
「違いますけど」
そう返すが、松村はどこか納得出来ないようにジッと見つめて来る。仕方ないので手紙を開いて「イニシャルが違うじゃないですか」と言ってみる。
「それは問題じゃないんだ」
「は?」
理解不能な松村の返事に間の向けた声を上げてしまう。
手紙を出したのが自分だと思われている。だからイニシャルが違うよと答えた。それなのに差出人の名前は問題ではないと言う。矛盾してないか?
「僕を呼び出したって事は他にも手紙を出したんじゃないかと思ったんだが」
「……出してませんけど」
会話が噛み合ってない。どうしたものかと視線を飛ばし、壁に掛けられた時計に目がとまる。丁度三時だ。
「あの、それを出したのが俺だとして……どんな用件があると思ったんですか」
このままでは埒があかない。そこで思い付いた疑問をそのまま口にする。
それに対して松村は諦めのようなやるせない微笑を浮かべる。
「責められるのかと」
「え、何で?」
宮森は一方的に松村の事を知ってはいたが、特に何かされたと言う訳ではない。そもそも、松村が宮森の名を知っていた事に驚いているぐらいなのだ。その事からもこれまで接点などなかったと断言出来る。
何を責めると言うのか。それを訊ねようと口を開いた瞬間、図書室の戸がカラッと開く音がする。
それに二人揃って目を向ける。
ピンと伸びた姿勢。黒い前髪の下にある突き刺すように鋭い眼差し。
生徒会長の西垣だった。

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