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極上の趣味 16

食堂内がシンと静まり返る。
お互いの顔色を窺うように全員がソワソワと目を走らせる中、西垣が口を開く。
「鍵の件は俺の責任だ。悪い」
それに宮森は酷く驚く。
入学してからこっち、四六時中睨まれ続けた所為か、宮森は西垣を自己中の俺様な奴だと思っていたのだ。それなのに、非を認めアッサリと頭を下げるとは少しばかり誤解していたのかも知れない。ちゃんと話せば分かるんじゃないのか?
だが、西垣は続けて言う。
「その上で言う。校舎を出るまで俺の指示に従え」
あれ、誤解じゃなかったのかも。やっぱりこの人って俺様なんじゃ?
「知っていると思うが、校舎のガラスには特殊なフィルムが貼られていて少しぶつかったぐらいでは割れない。だから、戸田は自分で落ちたんじゃなくて、誰かに突き落とされたんだと思う。そして、俺たちに届いた妙な手紙。これらを関連づけて考えると、手紙の差出人の目的が分かる」
「復讐かな」
松村が合いの手を入れる。それに頷いて西垣が言葉を続ける。
「ここにいる全員が小四の時、同じクラスだった。佐川の事件が無関係とは思えない」
その時、ビクッと辻が震えた。
どうしたのだろうかと宮森が目を向け、それに気付いた西垣も同じように辻を見る。
松村の手を振り払い、カタカタと震えている。
子供だったとは言え、同級生を死に追いやった事を後悔し、恐怖を覚えたのだろうか。
そう思って宮森が見つめる中、辻がガバッと顔を上げる。
そこには後悔も恐怖も浮かんでいなかった。あるのは蔑みにも似た笑顔だけ。
「ハハハッ、最高だなオイ」
何が可笑しいのか分からずに、宮森はただポカンとする。それは他の人もそうだったようで全員が無言で辻を見つめる。
「佐川の復讐だと? 今になって何でだよ、やるならもっと前に出来ただろうが!」
最後の方は激昂して大声になっている。
そこで漸く辻が怯えているのだと宮森は理解する。
この場にいる誰よりも怯えている。それだけ心当たりがあるのだろう。
「理由は分からない。だが、こうも考えられる。手紙の差出人は八年もの年月を掛けて周到に計画していた、と」
そうだ。西垣が鍵を手渡した直後に戸田は墜落している。それとほぼ同時に職員室の電話が不通になったのだ。手際がいい。
クラス全員がイジメに加担していたのかどうかは分からない。だが、ここにいる三年生は恐らくクラスの中心人物だった筈なのだ。他に残っているのは宮森と翼だけ。
手紙の差出人にとって、この二人がいるのは不測の事態だっただろうと思う。でも、無関係である筈の戸田を突き落とした。と、言う事は。
下級生だった翼も、当時この地にいなかった宮森も安全とは言えない。ここに居合わせた全員が危ないのだ。
うわぁ、酷いとばっちり。宮森は声に出さず、げんなりと肩を落とす。
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