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極上の趣味 28

「は?」
「だって辻はバイだから……宮森くん目立ってたし、佐川くんと似ていたから辻の好みだったと思うよ」
「佐川アオイが辻にいじめられてたのって」
「好きだったからって訳じゃない。単に顔が綺麗だったから、それだけよ。さっき私がした話、覚えてる?」
佐川アオイがトイレでいじめられていたと言う話だろう。
思い出すだけで胸くそ悪くなるが、今の話と何の関係があると言うんだ。
「言ったでしょう、佐川くんは服を脱がされて血まみれだったって」
「まさか、」
「まぁ、年齢が年齢だから実際に犯したとは思えないわ。でも、佐川くんの様子からして似たような事があったのは間違いないでしょう」
吐き気がする。
宮森は手で口を押さえて何とかそれを飲み込む。
小学生が同級生を性的に犯すなんて、生理的に受け付けない。ただの暴力よりも嫌悪感を伴う。
「西垣がいなかったら宮森くんだって何をされたか分からないわよ」
「何をされるところだったんですか……」
「詳しくは吉野に聞いてみるといいわ。あいつ、辻の腰巾着もいいところだったから最近の悪事は全部知ってるんじゃないの。まぁ、だいたい予想は付くけど」
「参考までに聞かせて下さい」
厭な予感しかなかったが、ここで耳を塞いでも意味がないだろう。
おそるおそる宮森がそう言うと、島津がどうって事ないように言葉を続ける。
「男同士だから見せびらかすのが目的じゃないでしょうね。だから宮森くんが地味になったとしても具合が良かったら辻は手放さなかったと思うから……そうね、たとえば強姦して、それを撮影とか」
そんな事されたら首吊るしかない。
無事で良かった。先ほどまでは島津に怯えていたが、今ならその気持ちを理解出来る。
辻がこの世にいない事実にホッとする。
「でも、どうしてカイチョーのおかげ……?」
「辻はタチが悪いけど、別に暴力団と繋がってるとか近所の不良チームの元締めとか、そういう事はなかったから基本的にボッチなのよ。それに対して西垣は人望あるし、鶴の一声で人数は集まる筈だから正面から事を構えるつもりはなかったんじゃない?」
成る程。確かに西垣は校内に知らない者のない生徒会長だ。
女子の人気は絶大だし、教師にも一目置かれている。
そんな西垣と辻が正面から衝突したら、考えるまでもなく辻にとって分が悪い。
「西垣が目を光らせてたから宮森くんは今まで無事だったんだよ」
「はぁ……」
だからと言って、西垣に好意を抱くかと言われたら、そんな事ないとしか答えられない。
何しろ、入学してから一年とちょっと、西垣の所為で宮森は敬遠され孤独を噛み締めて来たのだ。そう簡単に蟠りが解ける筈などない。
「えっと……じゃ、ヨシユキさんも辻さんに何かされたんですか……?」
思い出してみれば、ヨシユキの外見は派手だったし、仕草や目つきに色気のような物が漂っていた。それに小学校に上がる前にあった事件が事件だ。
ある一定の男に対して、そそる物があると言う事じゃないのか……?
だが、島津の答えはアッサリとした物だった。
「知らないわ」
余りにもキッパリと言われたので、宮森は拍子抜けして島津の顔をマジマジと見つめる。
「自分の事で手一杯だったから他の人の事までなんて分からないわよ。それに今頃、松村に理由を話しているんじゃない?」
言われてみれば、その通りだ。
年上とは言え、まだ高校生なのだ。島津にそれ以上の情報を求めても仕方ない。
曖昧に頷き、宮森は壁に掛けられた時計に目を向ける。
時刻は午後八時を少し過ぎていた。

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