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極上の趣味 32

「だいたいからして、双子ってだけであれこれ比べられるのが厭だったね。しかも雪華自身も俺を意識して競ってるつもりみたいだったし、面倒臭いったらありゃしないよ」
宮森は双子ではないが、ヨシユキの言いたい事は何となく分かる気がした。
周囲に悪気はないのかも知れないが、兄弟がいると何かと比べられるものなのだ。
黙って頷くと、ヨシユキが言葉を続ける。
「でも、ちょっと鬱陶しいだけで殺したいほど憎むってのとは違ってたかな。雪華だって俺の事は目の上のたん瘤ぐらいに思ってただろうし、ま、お互い様だよね。でも、どうしても雪華を許せない事件が起こったんだよ」
血の繋がった双子を殺したい程の事件。何があったのだろう。
宮森が首を傾げる中、ヨシユキが他の三年生をグルッと見渡す。
「近所の大学生に俺が悪戯されたってのは知ってるよね?」
その言葉に全員がギクッと震える。
事が事だ。知っていても気軽に話せる内容ではない。しかも、当事者であるヨシユキに言われてどんな顔をすればいいのか分からないのだろう。
「地元じゃない宮森くんも知ってるの?」
宮森の顔色から察したのか、ヨシユキがニコリと笑う。
どうして笑っていられるのか、宮森はその正気を疑いたくなる。だが、何とか小さく頷き返す。
「あれさぁ、本当は何もなかったんだよね」
「え……?」
「近所に住んでた大学生で、ちょっと子供好きなだけの優しい人だったんだよ」
「でも……ヨシユキさんはその所為で地元を離れたんですよね?」
「うん。俺って当時は今ほどお喋りなキャラじゃなかったから、周りの大人に何も言えなかったんだよ」
「じゃ、誰が言ったんですか」
宮森の問いにヨシユキの目が暗く光る。
「雪華だよ」
そう言って深く息を吐き出す。これまで抱えていた物を全て吐き出したいのかも知れない。
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