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極上の趣味 35

「でも、どうして島津が」
松村が信じられないと言った様子で呟く。
宮森はその理由を知っていたが、三年生、少なくとも松村は知らないらしい。
どうしよう。
ここでそれを話すのは島津のプライバシーを侵害する事になる。本人が口を噤んでいるのだから、他人である宮森がそれを喋るのはお門違いと言うものだ。
しかし、ここまで事件に巻き込まれた松村が納得するとも思えない。
どうしたものかと悩んでいると、島津がキッパリとした声で言う。
「言いたくない」
松村がそれに静かな視線をくれて、「分かった」と頷く。
「島津が話したくないなら、これ以上は聞かない。でも、殺す以外の選択肢はなかったのか?」
「なかったわ。あったとしても私には思いつかなかった」
落ち着いた声でそう言う島津を見つめて、松村が頷く。
「余計な質問をしてごめん」
そのやり取りを見つめながら、松村は島津の事が好きなのかも知れないと、宮森は思う。
一緒に保健室に行ったのも、島津の事が心配だったから。
だから、島津が辻を殺した理由を知りたかったのだ。もしかしたら、前もって相談されたていたら代わりに殺そうとしたかも知れない。
島津もそれが分かっているのだろう。だからこそ、松村に理由を話したがらないのだ。
やりきれない。
宮森がそう溜め息をつくと、それを待っていたかのように西垣が口を開く。
「校舎に俺たちを閉じ込めたのもヨシユキたちなのか?」
二件の殺人については、本人たちの自供もあるのだし解決したと思っていいだろう。
だが、校舎の件に関してはこの二人の仕業とは思えない。
そもそも生徒には不可能なのだ。
二人と共犯か、或いは無関係か。それはまだ分からなかったが、関わっている人物が他にもう一人いると思うのが自然だ。
「ヨシユキさん」
宮森が呼びかけると、ヨシユキがプイッとそっぽを向く。答える気はないのだろう。ならばと、島津に目を向けると、曖昧に首を振っている。こちらも話す気はないらしい。
だが、これでハッキリした。
校舎に宮森たちを閉じ込めたのは二人の共犯、いや、今回の主犯だ。
「分かりました。じゃ、確認だけさせて下さい」
そう言って島津の前に移動する。
「島津さんは辻さんを殺したかった。その目的が果たされた今、他の人にまで危害を及ぼすつもりはありますか」
「ないわ」
せいせいしたと言いたそうな声でキッパリと答える。ヨシユキを見ると、島津と同じ目をして頷いている。
「だったら、今後の対策を立てましょう」
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