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極上の趣味 36

辻と久保が死亡したとは言え、状況は何も変わっていない。
校舎に閉じ込められ、外に出る事が出来ないのだ。
それをした犯人の目的は不明。いや、佐川アオイの復讐と言う事は分かっている。
だが、具体的に何をしようと言うのか分からない。
この場にいる全員を殺そうとしているのなら、ヨシユキと島津を共犯にする事はなかっただろう。隙を見て一人ずつ殺せばいいのだから。
ならば、犯人の目的は一人か……或いは残った三年生全員だ。
どうしたものか。
そう思案しながら視線をくれると、島津とヨシユキがそれぞれ離れて座っている事に気付く。
交換殺人をして置きながら、二人は余り親しくないようだった。
だが、そんな筈はないのだ。
互いの殺意を理解していなければ、どうやって交換殺人を持ち掛けたと言うんだ。しかも、ヨシユキに至っては島津を庇おうとすらした。
何か見えない糸で二人が繋がっていると思っていいだろう。
それは何だ。
もしかしたら、今回の主犯ではないのか。
「島津さん」
呼びかけると、面倒臭そうな吐息と共に島津が宮森を見る。それに、鬱陶しくてごめんなさいねと、心の中だけで謝罪して質問を繰り出す。
「ヨシユキさんと出会ったのはいつですか」
同級なのだから、出会うチャンスなんて幾らでもあった筈だ。
だが、島津の性格からして久保のような女子と望んで親しくなるとは思えない。
宮森が見たところ、多少の情緒不安定はあるのかも知れないが、島津はかなり割り切った性格をしている。
辻に脅されるのを厭って、読モを辞めたぐらいなのだ。
何が得で何が損か分かっている。計算高いと言ってしまえばそうなのかも知れないが、それは裏を返せば冷静で頭がいいからだ。
そんな島津が、他人の物ばかり欲しがる駄々っ子のような久保と気が合うだろうか。
きっと無理だ。
久保のように欲しいと言うばかりで努力しない人種を、島津は嫌いな筈だ。
ならば、親しくなったのには理由がある。
邪推かも知れなかったが、そう考えると納得出来てしまうのも事実なのだ。
「さぁ……よく覚えてないわ」
どうでも良さそうに島津が投げやりな返事をする。
「ヨシユキさんは?」
島津からヨシユキに目を向けるが、肩を竦めるだけで何も返さない。
言いたくないという意思表示だろう。
ならば、宮森たちを校舎に閉じ込めた人物と接触したのも同じ頃に違いない。
宮森がそう思う根拠はあった。
何度も言うが、島津とヨシユキは同級なのだ。普通に考えれば、久保を介して知り合ったと思うだろうが、二人はそう言わなかった。事実と違うからだ。
そして、更に言うなら島津が久保と親しくなったのも誰かの意思が働いたのだろう。それが憶測に過ぎないと分かっていたが、今のところ、否定する根拠もない。
島津とヨシユキを引き合わせ、また島津に久保を親しくなるように指示を出した人物がいるのだ。
だが、二人がそれを教えてくれるとは思えない。
それが言えるのであれば、今頃は宮森たちも解放されている筈だからだ。
つまりもう一人の目的はまだ果たされていない。そういう事だ。
そして、島津とヨシユキがそれぞれ同級生を殺したのだから、その人物の目的もまた誰かを殺すものなのだ。
ここにいる誰かが、それほどの恨みを買ったのか。
そう思って宮森はグルリと見渡す。
西垣と松村、森橋兄弟に吉野。そして宮森自身。
このうちの誰か、或いは全員を殺そうと言うのかも知れない。
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